令和6年度 上小阿仁小中学校避難訓練~災害は忘れた頃にやってくる~
令和6年5月24日(金)に避難訓練を実施しました。
今回の避難訓練は地震の後に、火災が発生することを想定しての避難訓練でした。
全校児童生徒は万が一に備え、真剣に取り組むことができました。
写真の様子からも分かるとおり、火災が発生したことを想定しているため、口元をハンカチや袖などで覆い煙を吸い込まないようにすることが徹底されていました。また、避難のときのキーワード「おはしも」も意識されており、騒がず静かに、そして迅速に避難することができました。
避難の後は、全体会です。
今回も北秋田消防署及び上小阿仁分署の消防士の皆さんにご協力いただきました。
まずは校長先生のお話です。
ご自身が学生時代に経験した「日本海中部地震」について、そのときに感じたおそろしさを伝えながらお話しいただきました。児童生徒は真剣な表情で校長先生のお話を聞いていました。
お話の途中で校長先生は、小学校2・3年生に全校の前に出てくるよう促しました。
以前、授業で学習した災害時の対応等について発表してもらうためです。2・3年生は一人一人、学んだことを自分の言葉でしっかりと伝えることができていました。筆者は中学校職員ですが、小学校低学年の児童が公の場であのように発言できるということに感銘を受けました。
また、校長先生は全校児童生徒に以下のように問いました。
「『○○は忘れた頃にやってくる』、この空欄に当てはまる言葉は何ですか?」
全校児童生徒が、われ先にと手を挙げました。その中で中学校2年生を指名した校長先生。指名された生徒は前に来て黒板に字を書きます。
「さいがい」
正解です。全校児童生徒から拍手が送られます。
・・・ごく自然なやり取りですが、実はここにちょっとした思いやりの心が隠れています。
後から校長先生に聞いた話ですが、指名された生徒は黒板に答えを書く前に、校長先生に耳打ちして聞いたそうです。
「ひらがなで書いたほうがいいですよね?」と。
普通であれば、全校の前でパフォーマンスをすることに緊張して、答えを書くだけで精一杯であろうに、あまり漢字を知らない小学校低学年の児童のことを気にかけていたのです。我々教師がそのような配慮をすることは当たり前ですが、中学2年生が何も言われなくともそのような配慮に至るという点ですばらしいと思います。本校のよいところ、また一つ子どもに教えられました。
その後も、校長先生が全校児童生徒に防災に関する質問をしました。
子どもたちは積極的に手を挙げ、自分の意見を堂々と発表することができました。
余談ですが、今回ご協力いただいた消防士の皆さんの中に、校長先生の教え子さんがいらっしゃいました。
校長先生はその方に前に出るよう促すと、「なぜ消防士になったのか」を尋ねました。事前打合せは全くなかったらしいのですが、その方はご自身の経験を真摯に語ってくださいました。
将来について考えることが多くなった中学生にとっては、とても興味深く、ためになるお話でした。避難訓練の最中ではありましたが、この一時はさながらキャリア教育に関する講話のようでした。
その後、分署長さんから防災に関する講話をいただき、消防士の方から消化器の扱いに関する説明を受けました。あいにくの雨で消火の実演はできませんでしたが、基本的な操作について改めて確認することができました。
最後は、分署長さんによる演習、その名も「KYT(危険予知トレーニング)」です。
小学校1年生から中学校3年生まで、それぞれの学年でグループになり、提示された絵の場面の「危険な箇所」や「その危険を回避する方法」などを話し合いました。本校の避難訓練では初めての取組でしたが、活発な話合いが続き、非常に有意義な時間となりました。発表の場面では、われ先にと手を挙げる子どもたちの姿が印象的でした。
「災害は忘れた頃にやってくる」
何もない日常こそ、何かあったときのことを想定し、備えておくことが大切だと思います。
本日はとても有意義な避難訓練となりました。
改めましてご協力いただいた北秋田消防署及び上小阿仁分署の消防士の皆さんに感謝申し上げます。
ありがとうございました。