令和6年度 上小阿仁中学校卒業証書授与式 ~友と歩んだ日々を胸に、ここから新たな一歩を~
令和7年3月8日(土)、上小阿仁村立上小阿仁中学校にて、令和6年度卒業証書授与式を挙行いたしました。
8人で紡いできた12年間の物語が、いよいよ最終章を迎えます。
結論からお話しすると、卒業式は感動に満ちた、素晴らしいひとときとなりました。
この記事では、写真と共に当日の様子をご紹介いたします。
卒業生たちの晴れやかな旅立ちの瞬間を、少しでも皆様にお伝えできれば幸いです。
<春の訪れを感じる卒業式>
卒業式当日の早朝、一週間続いた晴天が嘘のように、しんしんと雪が降り続いていました。まるで名残を惜しむかのような「なごり雪」です。
しかし、卒業生たちの日頃の行いがよかったのでしょう。式が始まる頃にはやわらかな陽の光が差し込み、穏やかな春の日差しの下、絶好の卒業式日和となりました。
<卒業式開幕>
卒業生の入場です。
8人の表情には、どこか落ち着きが感じられました。
これまでの歩みを振り返りながら、やるべきことをやり尽くして迎えた晴れの日。その思いが、見守る私たちにもひしひしと伝わってきました。
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<卒業証書授与>
担任の先生に名前を呼ばれ、いよいよ校長先生のもとへ。
卒業生の表情は真剣そのものです。
大きな卒業証書を、両腕をいっぱいに広げて受け取り、力強く「ありがとうございます!」と感謝の言葉を伝えます。
その姿には、誠実さと成長の証がにじみ出ていました。
受け取った証書を、保護者席の前で堂々と開き、しばしアピールタイム。
誇らしげな姿が、会場全体に感動を広げていきました。
<校長式辞>
卒業に当たり、巣立ちの日を迎えた卒業生たちへ、これまでの歩みを振り返るとともに、未来への期待を込めた温かな言葉を贈られました。
「ふるさとを 照らす 光に 春の夢」
自作の俳句を披露された後、卒業生一人一人の個性や成長の軌跡を丁寧に振り返られました。
仲間と共に努力を重ね、学校生活を築いてきた姿。困難に直面しながらも乗り越えようとする強い意志。そして、後輩や周囲に与えた温かな影響。それぞれの生徒が輝いた瞬間を、一つ一つ心を込めて語られました。
卒業生たちの挑戦とその姿勢が、学校全体をよりよいものへと導いてくれたことに感謝を述べられ、努力と成長を深く称えられました。
また、未来への旅立ちに際し、『赤毛のアン』の言葉を引用されました。
“I don’t know what lies around the bend. But I’m going to believe that the best does.”
「たとえ先の見えない道であっても、最良の未来が待っていると信じて歩み続けてほしい」
そんな力強い激励と共に、新たな環境での挑戦を恐れず、多くの人と出会いながら自らの可能性を広げていくことの大切さを伝えてくださいました。
最後に、校長先生は卒業生の前途に幸多からんことを心から願い、祝福の言葉を贈られました。
卒業生たちはその言葉を胸に刻み、それぞれの未来へと力強く歩み出していくことでしょう。
<ご来賓あいさつ>
卒業生の門出を祝し、村長さんとPTA副会長さんから温かいメッセージが贈られました。
まず、村長さんは、村の現状について触れた後、「夢の実現には挑戦が不可欠である」 という力強いメッセージを送られました。夢を叶えるためには、日々の行動が大切であり、失敗してもその理由を見直し、再び挑戦することで前進できることを説かれました。これまでの3年間で積み重ねた経験(勉強、部活動、社会貢献など)は、新たな環境での挑戦に必ず生かされるはず。「人生は学びの連続であり、勇気をもって挑戦し続けてほしい」 と、未来へのエールを込めた言葉で締めくくられました。
続いて、PTA副会長さんは、卒業生・保護者への祝辞と共に、これまで支えてくださった先生方や来賓の方々への感謝を述べられました。そして、4月から始まる高校生活について言及し、「新たな環境では、すべてを自分で管理し、挑戦することが求められる」 と語られました。通学や体調管理、部活動など、自由度が高まる一方で責任も大きくなる高校生活。その中で生じる不安を乗り越えるには、自ら考え、行動し、挑戦することが何より重要であると強調されました。
また、挑戦には必ず「結果」が伴い、それが成功であれ失敗であれ、理由を理解し、経験として蓄積することの大切さを説かれました。経験は自信となり、未来の選択を助け、周囲の人への支えにもなる。「これからの3年間、変化に適応しながら挑戦を重ね、そのすべてを成長の糧としてほしい」 と、卒業生の未来を力強く後押しする言葉で結ばれました。
挑戦することの大切さ、そしてその先に広がる可能性。
村長さんとPTA副会長さんの言葉は、卒業生たちにとって、新たな一歩を踏み出す勇気となったことでしょう。
<在校生「送る言葉」>
在校生代表として「送る言葉」を述べた新生徒会長は、卒業生への感謝と敬意を込め、先輩たちが示してくれた姿を振り返りました。体育祭では、応援合戦の指導を通じて在校生を優しく支え、学校祭ではリーダーシップを発揮しながら学校全体を一つにまとめた卒業生。その姿は、在校生にとって憧れであり、目標そのものでした。
また、部活動においても決して諦めず努力し続ける姿勢を示し、後輩たちに努力の大切さを教えてくれたことにも触れました。こうした卒業生の姿が、これからの学校を築いていく在校生にとって大きな道しるべとなったことを強調し、受け継いだ思いを未来へつなげていく決意を述べました。
最後に、「先輩たちはこれからも私たちの誇りであり、目標であり続けます」と語り、卒業生の新たな旅立ちに心からのエールを送りました。その言葉には、別れの寂しさだけでなく、先輩たちへの感謝と未来への希望があふれていました。
<卒業生「巣立ちの言葉」>
卒業に当たり、前生徒会長はこれまでの三年間を振り返りながら、期待と不安の中で始まった中学校生活が、多くの経験を通して充実したものになったことを語りました。体育祭や学校祭、生徒会活動を通じて仲間と協力することの大切さを学び、特に最上級生として迎えた一年間は「飛翔~限界の向こう側へ」というスローガンの下、自らの成長と共に学校全体を引っ張る意識をもって取り組んできたことが伝えられました。
また、怪我による挫折や新たな挑戦への戸惑い、それらを乗り越えていく中で感じた仲間や先生方の支えへの感謝の気持ちが強く感じられました。特に、学校祭の準備では多くの困難に直面しながらも、友人や先生の励ましによって乗り越えられたこと、そして「忙しいうちが幸せ」という校長先生の言葉が大きな支えになったとのことでした。
最後に、生徒会長は、ここまで支えてくれた家族、先生方、地域の方々、そして共に歩んできた仲間への感謝を改めて述べ、「たとえ別々の道を進んでも、私たちの絆は変わらない」と力強く語りました。仲間について言及した際、彼の目には光るものがあり、保育園から一緒に過ごした長い時間が、決して消えない強い絆となって8人をつないでいることを物語っていました。
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最後の言葉には、これからの未来への希望と、新たな世界へ挑戦する決意が込められており、会場全体が深い感動に包まれました。
<卒業の歌>
卒業式のクライマックス――それは、卒業生が贈る最後の歌。
今年選ばれたのは「あなたへ~旅立ちに寄せるメッセージ」。
歌詞の一つ一つが、これまでの思い出と重なり、胸を熱くしました。涙で声を詰まらせる生徒もいましたが、その隣では、歌えなくなった仲間の分までと、さらに声を張り上げる生徒の姿がありました。互いに支え合い、励まし合ってきた絆は、この瞬間も揺るぎないものでした。その姿に、見守る人々の瞳にも、涙があふれました。
そんな卒業生の想いを受け取った在校生も、じっとしてはいられません。
感謝と惜別の気持ちを込め、全身全霊で歌声を届けました。その歌声には、どんな言葉にも勝る「ありがとう」の想いが詰まっていました。
心と心が響き合い、歌声が一つになっていく。まさにこのメンバーでできる最後の、そして最高の合唱。式場いっぱいに広がる美しいハーモニーが、胸に深く刻まれる瞬間でした。
<卒業生退場>
そして迎えた、退場の時。
「卒業生退場」のアナウンスが響いた瞬間、思いがけないサプライズが待っていました。
学級担任と学年主任が生徒の前に立つと、突如、体育館に響き渡る声・・・
生徒A:「K先生(学年主任)!」
生徒B:「H先生(学級担任)!」
生徒C:「3年間、ありがとうございました!」
全員:「ありがとうございました!!!」
誰も予想していなかった、卒業生から先生方への感謝の呼び掛け。
予行練習のときにはなかった、ぶっつけ本番の言葉。それだけにまっすぐな想いが伝わり、メッセージを送られた先生方の目には涙があふれました。
最後に、卒業生全員が体育館の入り口に並び、深々と頭を下げました。
その姿から伝わる、心からの感謝の気持ち。
8人の卒業生が、お世話になった学び舎を巣立ち、新たな世界へと旅立つ瞬間。
その背中を見送る人々の心には、彼らの未来へのエールが満ちていました。
「がんばれ!」
<最後の学活>
卒業式の後、教室へ移動し最後の学活が始まりました。
最初は卒業生へ贈る、学級担任からの最後の言葉。
それは、これからの人生を歩んでいく君たちに、ぜひ心に留めておいてほしい三つのことでした。
①チャンスをつかむ準備をしよう
成功をつかむ人と、そうでない人の違いは何か。それは「準備ができているかどうか」――。担任自身の大学時代の経験から、その大切さを語りました。テニス部での団体戦メンバー選考。実力が大きく変わらない同級生が選ばれ、自分は選ばれなかった。その差は、直前にがんばっただけか、日頃から努力を続けるか。その時は悔しかったけれど、今では友達に対して尊敬の念しかない。このことはスポーツに限らず、人生すべてに通じること。知識を蓄えること、人との関わりを深めること、それぞれのやり方でチャンスに備えよう。いつか本当にやりたいことを見つけたとき、確実につかめる自分でいてほしい。
②生きることの尊さ
当たり前のようで、決して当たり前ではない「生きる」ということ。
担任がかつて関わったことのある生徒が、事故で亡くなったことを知った。突然の悲報をニュースで知ったときの衝撃、悲しみ、そして命の尊さを改めて痛感した。これから先、君たちにもつらいことが訪れるかもしれない。でも、どんなに苦しくても、生きてさえいれば、道は開ける。どうか、自分の命を大切に、人生を大切にしてほしい。
③感謝の気持ちを忘れずに
君たちはすでに知っているだろう。でも、これからもずっと、感謝の気持ちを持ち続けてほしい。毎日食事ができること、安心して眠れること。それは決して当たり前ではない。特に、誰よりも近くで支えてくれる親への感謝を、素直に伝えられる人でいてほしい。担任自身、学生時代は恥ずかしくて親に「ありがとう」と言えなかった。大人になってやっと、その大切さに気づいた。「もっと早く伝えればよかった」と思う。だからこそ、君たちには今から素直になってほしい。
学級担任が、最後に伝えたかったこと。これからの人生を歩む上でとても大切なこと。卒業生たちの真剣な眼差しから、しっかりと受け止めたことが見てとれました。
これらのメッセージは、彼らの未来のどこかでふと思い出されることでしょう。
<学級担任の一言から始まった感謝の時間>
「今日だけは素直になって、家族に感謝の気持ちを伝えよう」
担任の先生の言葉を胸に、卒業生たちはそれぞれが準備した手紙を手に取りました。
前に出て皆の前で朗読する生徒、両親の下へ歩み寄り直接思いを伝える生徒──伝え方はさまざまでしたが、どの言葉にも共通していたのは、「大切に育ててくれてありがとう」「自分のために頑張ってくれてありがとう」「お父さん、お母さん、大好きです」という真っすぐな感謝の気持ちでした。涙ぐみながら想いを伝える卒業生。それを受け止め、目を潤ませる家族。教室には温かな空気が満ちていました。
<思い出がよみがえるひととき>
続いて、学級で過ごした日々を振り返るビデオ鑑賞が行われました。楽しそうに画面を見つめる卒業生たちの顔には、笑顔があふれていました。
その後、お互いへの思いを伝える時間が設けられました。涙で言葉が詰まる生徒、恥ずかしそうに微笑みながら語る生徒──それぞれの表現がありましたが、どの生徒の言葉にも「このメンバーでよかった」「誰一人欠けることなく、12年間ともに歩んできたことが誇り」という思いが込められていました。
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卒業後は別々の道を歩むことになりますが、それでも「心はずっとつながっている」、そう感じさせる時間でした。
<在校生からの熱いエール>
感動的な最後の学級活動を終えた卒業生を待っていたのは、在校生からの本気のエールでした。寒空の下、それを感じさせないほどの力強い声援。そこに込められた感謝の思いは、卒業生の心にまっすぐ届いたことでしょう。
すると、卒業生も黙ってはいられません。エールのお返しです!
さすがは最上級生。最後の最後まで素晴らしい姿を見せてくれました。まったく予想していなかったことでしたが、即興で言葉を決め、堂々とやりきりました。
見送りの時間は、なかなか終わりませんでした。
名残惜しさが募り、卒業生も在校生もその場を離れようとしません。「本当に素晴らしい先輩だった」「もっとたくさんのことを教わりたかった」「もっと一緒にいたかった」そんな思いが、そこかしこにあふれていました。
<令和6年度 上小阿仁村立上小阿仁中学校卒業証書授与式>
振り返ると、今年度の卒業式は『感謝』の気持ちがあふれる、最高の式となりました。
こんなにも温かな思いを残してくれた卒業生のみなさんに、改めて感謝したいと思います。
本当にありがとう!
みなさんの未来に、幸多からんことを心から願っています!