中学校:先輩に学ぶ会実施 ~夢を叶えるということ、大変だけれども尊いこと~

令和6年11月12日(火)、中学校で毎年開催している「先輩に学ぶ会」を実施しました。

今年の講師の先生は、紫波図書館で主任司書を務めている手塚 美希さん(上小阿仁村羽立地区出身)です。ライブラリー・オブ・ザ・イヤー優秀賞を受賞し、2019年にはアメリカのワシントンD.C.で開催された「全米図書館協会年次大会」のジャパンセッションに参加した経歴をもつ、有名な図書司書である手塚さんですが、後輩たちのためにと、今回の講師を快く引き受けてくださいました。

講話の前段では、ご自身の中学生時代についても言及してくださり、生徒たちは今現在との違い(クラス規模や給食の提供方法、独特な学習方法)に驚いていました。

その後、本題に入ります。
講話の演題は「図書館司書になったわけ」でした。

生徒たちが理解しやすいようにと、あえてシンプルにまとめていただいた演題には、手塚さんのこれまでの人生が詰まっていました。思うように情報が手に入らなかった中学生当時の上小阿仁村の現状に落胆しつつも、「好きな村のために何か自分にできることはないか」「人や情報が集う場所を創れば、村が明るく輝いていくのではないか」「そうだ、そのような場所がないのなら自分が創ればいい!」、そう思い、中学生の手塚さんは大きな夢をもつことになります。

その後は、あまりに大きな夢であったため、実現させることが難しく、ときにくじけそうになったこともあったそうですが、着実に図書館司書としてのキャリアを積み上げられました。そうこうしている間に、本人の耳に「上小阿仁村に図書館ができたそうだ」という知らせが届きます。自分が中学生時代に抱いた夢、その夢の実現に向かって努力してきた手塚さんにとっては、突然夢を奪われたような虚無感に襲われたそうです。

それでも、本が好きで人が好き、みんなが集まる幸せな場所を創りたいという気持ちは変わりませんでした。そんな人の下には、様々なチャンスが訪れます。・・・詳細は割愛させていただきますが、図書館のなかった紫波町に図書館を創るプロジェクトのメンバーとして力を尽くすことができたのです。

現在の紫波町図書館のすばらしさは言うまでもないと思います。人々が集い、交流し、地域の核として輝きを放つ図書館。そんな場所を創り出すという夢を叶えた手塚さんのお話は、生徒たちの心に「未来への種」をまいてくれました。

「図書館って一言でいうと何だと思いますか?」

手塚さんが、講話の中で生徒たちに問い掛けた質問です。
生徒たちも一生懸命考えた質問、この記事を読んでいる皆さんも少し考えてみてください。

<当日の様子>

【生徒の感想(お礼状)】
・手塚さんに「先輩に学ぶ会」に参加して参加していただいて、これから長い人生を歩んでいく中で、とても貴重なお話を聞くことができたと思います。本当にありがとうございます。はじめに、「図書館を一言でいうと?」と聞かれたとき、正直僕は、「趣味を見つけ広げていく場」だと考えました。また、司書の皆さんは、本の整理をしているというイメージが強かったです。しかし、今回の会を通して、「人をつなげ町をつくっていく場」が図書館であり、司書さんは町の人々のことを考えて仕事をしていることが分かりました。「誰もが居心地の良いと感じる場所をつくりたい」という思いは、僕も後輩として受け継ぎたいと感じました。村の良さを自分に取り入れ、これからの活動の中で「強み」にしていきたいと思います。

・手塚さんのお話を聞いて、自分の夢をもつことが大切だと感じました。今まで「図書館」は静かな所で、真面目な場所という印象がありました。ですが、手塚さんが作った「図書館」には、夢と希望がつまっていると思います。形にとらわれず、手塚さんが仰っていた「誰もが居心地よく、許し合える」素敵な場所だなと思いました。そのような図書館が上小阿仁村にもあれば、子どもから大人まで全ての人が訪れ、人と人をつなぐ架け橋となるのではないかと考えました。私には今夢があって、その夢を叶えるためにも手塚さんのように夢に向かって決断したり、努力を重ねたりしたいです。そして素敵な人生を創り上げていきたいです。今回は先輩に学ぶ会でお話をしてくださり、ありがとうございました。

・手塚さんのお話を聴く前、図書館は本を貸し出す役割を果たす場所だと思っていました。しかし、図書館は情報を伝える、本だけではなく人も繋ぐというお話を聴いて、図書館に対して抱いていたイメージが180°変わりました。また、図書館がなく困っている人たちのために、紫波町に図書館をオープンさせることは容易なことではなかったと思いますが、それを実現させた手塚さんの行動力は本当にすごいと思いました。現代社会はたくさんの情報があり、正しい情報かデマの情報かを見分けなければいけません。手塚さんが仰っていた通り、インターネットの情報を全て信じることなく、多方面から批判的に読み取ることが本当に大切だと思いました。そして、情報を探すプロフェッショナルの司書さんに質問するという選択肢を得ることができました。もし機会があったら紫波町図書館を訪れたいと思います。貴重なお話を本当にありがとうございました。

他の生徒たちも、とてもよい感想を書いていました。
全員の感想を紹介したいところですが、この度は3名の感想でとどめておきたいと思います。
繰り返しになりますが、今回講話を引き受けてくださり、すばらしい話をしてくださった手塚さんには、心から感謝申し上げます。手塚さんのようなすばらしい先輩をもっていることも生徒の誇りだと思います。

本当にありがとうございました!